この時期に一番に思い浮かぶのは「イヤイヤ期」という言葉ではないでしょうか。子どもたちは、赤ちゃんと幼児さんを行ったり来たりしながら、グッと成長を遂げていく時期になります。子どもたちは、お母さん(ここでは養育者のことを意味す言葉とします)と自分は違う人間だという事実と、もう赤ちゃんではいられないという事実に直面して、変化と混乱の渦の中にいます。この時期、子どもたちが幼児さんになっていく不安と、赤ちゃんでいられなくなる寂しさで一杯なことを理解していることがとても大切になります。
自分でやると自立を主張したり、「イヤ」と拒否したり、「うん」とは言わず同意しないことも経験していきます。それは、食べることや眠ること、トイレットトレーニングだけでなく日常生活のあらゆる場面で見られるようになります。お母さんは困り果ててしまうこともあるでしょう。つい、叱責してしまうのも無理のないことだと思いますが、「ダメ」ばかりでなもく、叱責するでもなく、子どもたちの気持ちを優先させて様子を見てそっと手助けをすることが大切です。それからもう一つ、道徳的にいけない行為には毅然として制止することも大切です。不安や勇気、寂しさやできなさを分かってもらった経験を重ねるうちに、子どもたちの厄介な行為は治っていくものです。時には、子どもたちは大人をからかって何やらすることもあるので、ユーモアの気持ちも忘れないでくださいね。
この時期には、お父さん(ここではこの言葉を、養育者ペアのもう一人の人の意味で使います)やきょうだい、あるいはお母さんのお腹にいる赤ちゃんに気がついて、お母さんが関心を向けているのが自分だけではなく、自分以外の誰かがいることに気がつき始めます。除け者にされたように感じたり、怒っちゃったり、攻撃を受けているように感じたり。お父さんとお母さんがどのくらい仲良しなのかにも関心が向き、新しい赤ちゃんが生まれるのかもしれないと空想して脅かされたり。子どもたちのこういった混乱した気持ちを受け止めて、分かるように話してあげることが大切になります。お母さんとお父さんが協力して、自分の世話をしてくれている、考えてくれているという経験を積むことが重要になります。ここを乗り越えることで、子どもたちは客観的に見る第3者の目を成長させていきます。一人親家庭では、多くの場合子どもたちはお母さんと暮らしています。子どもたちは成長にとって大切なお父さんの代わりを上手く見つけるようです。それは、お祖父さんだったり、親戚のおじさんだったり、近所のお兄さんだったり、保育園の先生だったりします。
このようにして、子どもたちは、安心感や安全感、考えるという機能(将来のお勉強にも繋がります)、自信や自己効力感、自分が存在しているのだという感覚を身につけていく歩を進めていきます。
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