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執筆者の写真村田りか

0歳から1歳の子どものこころーその①困りごと


1.おっぱいの困りごと

 赤ちゃんに授乳することをめぐる困りごとには、とても感情を掻き立てられます。赤ちゃんが元気におっぱいを飲んでくれると、お母さんは自分の育児力に自信が湧いてくるものです。けれども、痛みを感じたり、赤ちゃんのおっぱいを飲む力が弱かったり、体重が増えなかったりすると、お母さんは傷つき自分に育児力なないように感じたりします。それが高じて良い母親でないように感じてしまうこともあります。何らかの理由で、母乳で育てたいのにミルクにしないといけなくなったお母さんもいれば、ミルクで育てたいのに母乳で育てるお母さんもいるかもしれません。自分の育児は正しいのだろうかと悩みに悩みます。赤ちゃんも、それぞれの性格を持って生まれてきます。赤ちゃんもお母さんも、どちらも新米です。忘れてはならないのは、どんな赤ちゃんかなぁとよく見て聞いて、そしてお母さん自身の本当の気持ちもよく見て聞くことです。お互いにちょうど良いやり方を見つけていきます。母乳でも哺乳瓶でのミルクでも、赤ちゃんとの親密な関係は変わりありませんし、授乳以外にも赤ちゃんと親密な関係を持つ方法はいっぱいあります。

2.泣くことの意味

 赤ちゃんは何もかもが初めてのこの世界で、いろんなことにびっくりして泣いて訴えます。お腹が空いた、どこか痛い、気持ち悪い、なんか機嫌が悪い、など大人の言葉にしたら「死ぬかも」と泣いています。赤ちゃんの激しい泣き声は、親の根源的な感情を揺さぶります。時に赤ちゃんが自分に怒っていると感じることもあるでしょう。それもそのはず、赤ちゃんにとって親は授乳など最高の幸福感をもたらしてくれる人であり、待たせて最悪の欲求不満をもたらしてくれる人でもあるのです。けれども、この経験が赤ちゃんに、良いところも悪いところもあるかけがえのない親なのだという気づきをもたらします。また、自分にも良い感情も悪い感情もあることを発見していきます。赤ちゃんの激しい気持ちを大切に扱いながらも、それに持ち堪えることで親が決して打ち負かされないということ赤ちゃんに伝えることで赤ちゃんに安心をもたらします。案外、赤ちゃんはただ疲れていたり、寂しくて泣いているだけかもしれません。そうっと声掛けをしながら側にいて安心させることが必要な場合もあります。

3.寝ることの困りごと

 赤ちゃんは見知らぬ世界にやってきて、夜のことも昼のことも知りません。元々、睡眠のバランスを取るのが難しかったり、睡眠時間が短かったり、長かったり、赤ちゃんによってそれぞれのペースがあるようです。時には、家庭の中のちょっとした雰囲気を感じ取って不安になっている場合もあるかもしれません。お腹の中で空気やうんちが動いて痛くて泣いてしまう場合もあるでしょう。眠ることは、お別れでもありすので色々な感情が赤ちゃんにも親にも掻き立てられます。赤ちゃんが夜は眠る時間だと分かるまでは、親はへとへとになってしまいます。夜に赤ちゃんが激しく泣くと、つい親も赤ちゃんの見方をして大人でいることが難しくなります。一人で対処するのはともて難しいことです。

4.食べることの困りごと

 小さな歯が生え出し、そろそろ離乳食を始めようかという時期になると、赤ちゃんもお母さんが自分とは別の人間だと気がつき始めます。自分とお母さんの二人だけの関係に割り込んでくるお父さんにも気がつきます。これまで柔らかくて色んなものを探索していた自分の口に固いものが現れることにも、さぞかし戸惑いを感じるでしょう。自分の中の攻撃的な気持ちにも気がついているかもしれません。離乳というお母さんとのお別れも予期しているかもしれません。どこか赤ちゃんは寂しさを感じているものです。このような気持ちの中で離乳食が始まります。元気にどんどんゴックンしてくれる赤ちゃんもいれば、受け付けてくれない赤ちゃんもいます。たくさん食べる赤ちゃんも少食の赤ちゃんもいます。特別嗅覚や口内の感覚が過敏で全く受け付けない食べ物がある赤ちゃんもいます。一生懸命作ったものを食べてくれないと、食べる量が少ないと親は拒否されているように感じて養育能力がないように感じることがあります。離乳に向けて、赤ちゃんだけでなく、親もまたお別れの寂しさや悲しみを感じているものです。親子の関係が変化することお別れの機会が増え、それに対処していくことはとても難しいことです。


この頃の困り事について、ノウハウとは別に、赤ちゃんと保護者の心模様について述べてみました。いずれの場合にも、一人で抱え込むのではなく、家族と協力したり、誰かにお話を聞いてもらうことが大切です。赤ちゃんの気持ちを大切にしながらも、自分の気持ちも大切にすることが必要と考えます。

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