一言で言えば、同じです。子どもと大人ではもっている語彙力が違うので、子どもの心理療法の場合は主にシンプルなおもちゃを用意して「遊び」を通して、大人の場合は「語り」を通して行います。どちらも、「遊び」や「言語」だけでなく、その人の様子や雰囲気と同時にその人といて心理療法家がどのように感じ考えるかを観察します。
精神分析は、フロイトという人が創始しました。その後、お弟子さんたちがフロイトの理論を発展させてきました。それは主に、子どもの心理療法からの知見が大人の心理療法に発展していったものです。現在では、子どもは胎児の頃からお母さんを含む環境と関係をもっていることが分かってきています。言葉を持たない乳幼児を丁寧に観察することで、子どもの心が成長していく過程(精神分析過程)が研究されてきました。イギリスの精神分析家のメルツァーという人は「子どもを分析するという経験が分析家の仕事を豊かにする」と述べています。
心理療法では、子どもなら遊びながら時に遊びを見守りながら、大人なら語り合いながら、それによって伝えようとしている心配事や困りごとの根底には何があるのかな、心の中にどんな人がいるのかな、どんな空想をしているのかな、などを探索していきます。そして、それによって今ここで何が起きているのかについて話したり考えたりします。
そうすることによって、少しづつ、今の困りごとや心配ごとに影響を及ぼしていることを明らかにして、そこから自由になって大きな影響を受けずに人生を健やかに過ごしていくことを目指します。
近年では、1週間に1回〜数回の精神分析的心理療法が一般的に行われています。癒されるばかりではなく、苦しかったり、また良くなったり、悪くなったりしながら、じっくりと楽に生きることができるようになる援助をしています。
*Meltzer,D.(1967)The Psycho-analytical Process, The Roland Harris Trust Library No 1(飛谷渉訳、松木邦裕監訳(2010)、「精神分析過程」、p.026、金剛出版、東京)
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