村田りか
タイルをもつかむトンボ

日傘もさせないほど風が強い日、道路沿いのビルの壁のタイルに掴まっているトンボがいました。藁ならぬタイルをも掴む思いで強風をやり過ごそうとしています。6本の足に力を入れて、風の流れに逆らわないように羽を広げて。この世界でたった一匹で耐え忍んでいます。トンボは心細くないのでしょうか。
こんな気持ちを分かってもらいたいと思っている子どもがたくさんいます。顔ではニコニコして、分かってくれる大人を待っている子どもがいます。時には、厄介なことをしながら待っている子どももいます。