
この本を読んで自分がどう感じ、どう考えたかを言葉にできなかった。
ようやく10日ほど経って何か書けそうに思えた。
おすすめの本です。いきなり、ストンと心の底の沈んでいくような読後感です。
つまり、精神分析でいうと、誰もが聞いたことのある「無意識」、そして仏教でいうところの「無」とか「空」というところのことが書かれてあるように思えました。
それを、ハン・ガンという人が言葉にして、あたかも詩のように書かれた物語(ではないのかもしれません)です。
あちらの世界からはこちらの世界へアクセスできますが、こちらの世界からあちらの世界へのアクセスは非常に難しく、運が良ければ一瞬触れることができる…そういう世界を描いているのだと思えます。この題名に、その一瞬にして消え去ってしまう様がよく現れていると思います。
もちろん、誰もの心がここに書かれていあるものと共通しているというのではありません。それぞれの人にそれぞれのこのような世界があるのです。
Han Kang. (2016) THE WHITE BOOK.(斎藤真理子 訳 2023「すべての、白いものたちの」 河出書房新社 東京)
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